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龍ノ眉縮緬芝船極紅白覆輪風鈴獅子八重……

2008年07月23日 龍ノ眉縮緬芝船極紅白覆輪風鈴獅子八重……

1週間抜けてしまいました…

 

というわけで(なにが、というわけなんだろ?)前回予告した遺伝のお話なんですが、野が得意とする動物の遺伝(専門は植物ですよ)ではなく…季節柄アサガオのお話を…。

 アサガオといえば小学生の時に観察日記をつけた人も多いでしょう。夏の朝に丸い大きな花を咲かせる涼しげな花という印象を持つ方も多いと思います。が、アサガオはそれだけの花じゃないんです。

 

国立歴史民俗博物館hpより

http://www.rekihaku.ac.jp/events/o080729.html

 

どうです? とてもアサガオとは思えない花が咲いているでしょう?

でもこれも同じアサガオなんです。

で、説明のところにあるよくわからない漢字の羅列。実は、そのアサガオが持つ遺伝子の組み合わせを表しています。

たとえば、黄糸柳葉紅細切采咲牡丹

これは

黄:黄葉(y-1

糸柳葉細深切:笹葉切咲き(dl)と柳葉細深切咲き()の組み合わせ

紅:暗紅色の花の色(mg

采咲:柳と笹(または南天)遺伝子の組み合わせで咲く花型

牡丹:八重咲きのひとつ(dp

そしてそれぞれの遺伝子はメンデルの法則にしたがって子孫に受け継がれます。メンデルの法則(メンデリズム)とは優性の法則分離の法則独立の法則3つからなります。上記の例では5つの劣性遺伝子がそろって働いて初めて黄糸柳葉紅細切采咲牡丹となります。こんな複雑な組み合わせがそろったときだけ、不思議な形の花が咲くのです。

 

この変化アサガオが大流行したのは江戸時代の文化文政の頃、そして嘉永安政の頃に第二次ブームが到来しました。ここで気をつけて欲しいのはメンデルの発表が1865年だったこと。遺伝法則を見出すことこそできませんでしたが、多数の遺伝子を組み合わせて新しいタイプを作出することが日本でホビーとして定着していたことは驚異的なことです。

 

 こうして得られたアサガオ変異体は現在まで多数が受け継がれ、遺伝の研究に用いられてきました。現在では文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)において「アサガオ突然変異系統の収集・保存・提供」がなされています。

 

変化アサガオについては毎年、国立歴史民族博物館で展示されています。また、都心部でもアサガオ展で変化アサガオを見ることができます。興味のある方は行かれてみてはいかがでしょうか?

日比谷公園変化朝顔展      8月29日(金)〜8月31日(日)

大輪アサガオについては以下の展示会が有名

靖国神社奉納朝顔展(大輪)   7月27日(日)〜8月3日(日)
日比谷公園大輪・変化朝顔展  7月28日(月)〜8月3日(日)

せっかくなので次回も遺伝の話を…

 

今日の一冊

 

グッピーの軌跡追悼筒井良樹

 

今回は遺伝の話だったので、このトンデモナイ本のご紹介です。本来、書店での販売の無い限定販売本をここに紹介するのはどうかとも思ったのですが、在野のカイリョウヒンシャーには必読の書ですので…。

 

著者の筒井氏はグッピー飼育者には良くも悪くも超有名人でしたが、残念ながら一昨年に若くして亡くなりました。しかし、彼の仕事はかなりいろいろな方面のブリーダーに波及したと思われ、十姉妹やセキセイインコ、ラブバードなどの鳥類、コーンスネークやボールパイソンなどの爬虫類、ハムスターやジャービル(スナネズミね)などの哺乳類でも色彩変異の遺伝を理解する人が増えたのは確かです。

 

この本は主にアクアライフ誌に連載された記事をまとめたもので、グッピーに関する連載…のはずなのですが…、中身は猫の毛色やらセントポーリアの話が延々と…。更に高校野球・フィギュアスケート・少女マンガ・カメラ…そして食い物談義まで。驚くほど話題が多岐にわたる怪人っぷりがすばらしい。マニアってこういう人のことを言うのかも。しかし、やはり素晴しいのはグッピーの遺伝の話。とはいえ、ある程度メンデリズムが理解でき、個々の遺伝子の動きと品種維持・改良の概念が理解できていないとフォローするのは難しいかもしれません。というわけでいろいろな意味でマニアな方向けの本です。

n-90811554 at 9:50 | この記事のURL | |