脱線しまーす!
2008年07月31日 脱線しまーす!
木曜担当の野崎です。
遺伝のお話を書きまーす!と言っていたら、らっきーなことに石井さんがアルビノについて説明をしてくれました。
彼女のは正確には哺乳類のアルビノのお話ですね。哺乳類の色素は黒のユーメラニンと茶のフェオメラニンの2種類ですので、メラニン合成の始まりをつかさどるアルビノの遺伝子座(チロシナーゼという酵素の遺伝子です。多くの動物でCと表記されます。)の異常により、両方の色素合成に異常が出るために白で赤目になります(cと表記される変異)。
ハイ、ここで気付いたアナタ。なかなか鋭いですね。
そう、哺乳類以外の動物はメラニン以外の色素を持っている場合があります。ということは、C遺伝子が壊れていてもメラニンが合成できないだけで他の色素は残るということです。黄色で赤い目のセキセイインコを見たことがないですか?あれはチロシナーゼが壊れているのですが、黄色の色素は存在するので黄色くなるのです。
では白で赤目のインコはどうなのか・・・簡単に言ってしまうと黄色の色素が非常に少なくなる(青い)インコのうち、メラニンも合成できないものが白で赤目になります。(セキセイインコは青い色素を作れません。羽毛表面の構造が青い光を反射して、他の色は内部のメラニンが吸収してしまうので青く見えるのです。黄色色素は更に表層で黄色を反射しているので野生体色は緑になります。)鳥の場合赤目遺伝子はイノと言うので、黄色の場合は黄色を意味するラテン語と合成してルチノーと呼ばれます(アルビノも白を意味するアルブ+イノですね)。セキセイインコの場合、アルビノとはイノとブルーの両方の遺伝子がホモ(鳥のブリーダーはダブルファクターと言います。ちなみにヘテロをスプリットと言います)の個体を指す事になります。
一方、グッピーではアルビノは単純に赤目のものを指します。だからアルビノでも非常にカラフルです。ただしメラニン合成ができないので青、黒などの色は無く、赤や黄色で透明感のある個体になります。(現在売られているグッピーには2種類のアルビノがいて、これらは同じ遺伝子座の変異ではありません。交配するとノーマルが出ます。)
というわけで、同じアルビノと言っても、動物の種類によっていろいろ違うので少しややこしいかもしれません。
さて、C遺伝子座のチロシナーゼ遺伝子が壊れてしまっていたらアルビノですが、ちょっとおかしくなった程度ならどうなるんでしょうか?面白いのがネコのシールポイント(シャムネコカラーね)やウサギのヒマラヤンの遺伝子です。ネコの場合はcs(サイアミーズ)と表記されますが、これらはチロシナーゼが温度感受性になったケースです。つまり、温度が高いと働けないチロシナーゼを作るので、体温の低い耳や鼻先、足先、尾などでのみチロシナーゼが働いてメラニンが合成されることになります。
これらの変異は正常なチロシナーゼの遺伝子Cがあればメラニンが合成されてしまうので、アルビノではなくなってしまいます。つまりCが優性、cやcsが劣性ということになります。
せっかくネコの話がでてきたので、次回はネコの遺伝などの話を・・・
(専門学校のブログでこんな話を連載していいのかと悩みつつ・・・遺伝学はバイオテクノロジーの基礎なんだから、と自分に言い訳をしてみたり・・・。小学生あたりの夏休みの宿題の題材にでもしていただければとも思ったり・・・。)
今日の一冊
「銀河英雄伝説 田中芳樹」
ええ、アレですよ。
金髪の有翼獅子といいますか生意気な金髪の孺子と魔術師(と称賛される人)が知恵の限りを尽くして戦うアレです。
何故か主要登場人物がひたすら死んでいくというアレです。
キャラの墓場というかなんというか・・・。
一千万部を突破した田中芳樹の代表作として認知されていますが、また最近新しい文庫版がなんとソーゲン(かなーりビックリ)から出ていますよね。
82年に刊行され、人気だったのは知っていても手は出していなかった僕がこの本を手に取ったのは96年の文庫版でしたが・・・当時、様々な事情から抑圧された気分だった私はいきなり1巻の台詞にわしづかみにされました。「新兵器の登場は「まさか」ではなく「やはり」と表現される」とかなんとか・・・(忘れてる!!)。他にも名台詞満載でねぇ。ああ、SFだから、と軽く見てるといかん、と思ったわけですよ。
まあ、26年も前の作品ですが、いろんな意味で現実世界に迫るものがあるのでオススメしておきます。
そういえばアニメ・漫画・ゲーム化もされて、どれもそれなりにヒットしたようですが・・・アニメについては会社時代の後輩(彼は銀英伝に出会って人生が変わったと言っていましたが)曰く、「声優陣は超豪華で台詞が素晴らしい、が、とにかく絵が動かない。紙芝居?」という評価でした。試してみようという方がいらしたらぜひ。
n-90811554 at 13:18 | この記事のURL | |