食品とバイオテクノロジー (8)
2008年08月25日 食品とバイオテクノロジー (8)
月曜日担当の中島です。
自らの限界に挑戦している『食品とバイオテクノロジー』も、8回目となりました。
・・・と、毎回のように心細い書き出しをしつつ、本題に入らせていただきます。
今回は、前回(7回目)では触れなかった醤油(ショウユ)の種類について、一般的な醤油の概念とは異なるけれど親戚関係にあるものを簡単に説明させていただきます。
まずは魚醤(ギョショウ)です。
魚醤(ギョショウ)とは、魚(もしくは魚介類)を原材料とする発酵食品(調味料)です。日本で古くから使用されているものには、能登半島北部で製造されている「いしる」や、秋田県で製造されている「しょっつる」があります。
「いしる」はイワシやイカ、「しょっつる」はハタハタという魚から作られます。これらの原材料を塩とともに漬け込んで数ヶ月置くと、魚の内臓に含まれていた消化酵素と自然混入したカビや菌による発酵が進み、しだいに原材料が溶けるとともに独特な香りと色、そしてタンパク質が分解されて濃厚な旨味(うまみ)成分を含んだ液状になります。これをフィルター等でこして、場合によっては加熱による発酵を止める過程を経て市販されています。もちろん製造の過程には発酵期間や温度管理、それに秘伝的な手法などもあります。
これらの発酵は魚自身の消化酵素や自然混入するカビや菌に頼っているところがありますので、近年は麹(コウジ)や酵素を人為的に加えて製造する方法が検討されています。酵素、カビ、細菌、麹(コウジもカビの一種です)の力を利用して食品を加工する、まさに応用生物(バイオテクノロジー)の世界ですね。
日本古来の魚醤(ギョショウ)意外に、最近ではエスニック料理の流行とともに海外の魚醤が見かけられるようになりました。代表的なものがタイ料理で使用されるナムプラーやベトナム料理で使用されるヌックナム(ニョクナムとも呼ばれています)です。
ナムプラー・ヌックナムともにイワシ科の小魚などを原材料としていますが、塩分量や発酵・熟成の過程が異なるので、それぞれ独特の風味を持っています。
魚醤(ギョショウ)は一般的な醤油とは異なる独特な香りを持っています(場合によっては強烈な臭いと表現した方が良いかも知れません)。そのため「どうしても食べられない」、「臭いが苦手」というヒトもいるようですが、その一方で強烈な臭いも含めて「たまらなく好き!」というヒトも多いようです。
納豆やチーズなども同様ですが、発酵食品の独特な香り(臭い)に関しては好き嫌いの差が大きい傾向にあるようです。そのため納豆の時に触れましたが、発酵食品の香り(臭い)を抑える技術の研究もされています。これも応用生物(バイオテクノロジー)の世界ですね。
醤油と親戚関係にあるものについてはまだ続くのですが、今回はこの辺にしておきます。
下の画像はお店で売られていた「いしる」と「しょっつる」です。さすがに近所のスパーにはありませんでしたが、ちょっと離れたところにある大きめなデパートの食品売り場で発見しました。いや〜、日本全国の様々な特産品が簡単に手に入る便利な時代になったものです。
「しょっつる」は塩汁とも塩魚汁とも書くようです。
ちなみに中島がお勧めのご当地調味料は、高知県馬路村(うまじむら)の「ゆず村・ぽん酢しょうゆ」です。今までネットでお取り寄せしていましたが、上の画像を撮影させていただいた食品売り場で売られていることを発見しましたので、これからは気軽に購入できます。 ちょっとした嬉しい発見です!
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