食品とバイオテクノロジー (9)
2008年09月01日 食品とバイオテクノロジー (9)
月曜日担当の中島です。
自らの限界に挑戦している『食品とバイオテクノロジー』の9回目です。
前回(8回)で説明させていただいた、一般的な醤油の概念とは異なるけれど親戚関係にあるものの続きを説明させていただきます。
醤油(ショウユ)の“醤”という文字は日本では「ひしお」と読みますが、中国語では「ジャン」と発音し、どちらも食品を麹(コウジ)と塩で発酵させた調味料のことを表しています。ということで、前回説明させていただいた魚を発酵させたものは魚醤(ギョショウ)、醤油は大豆や小麦など穀物を発酵させるので穀醤(コクショウ)と呼ばれています。
さて、この“醤”という文字を使用した調味料ですが、中華料理などに使用される豆板醤(トウバンジャン)、甜麺醤(テンメンジャン)なども実は穀醤(コクショウ)に分類される一般的な醤油の概念とは異なるけれど親戚関係にあるものなのです。
豆板醤(トウバンジャン)は中華料理の中でも、マーボー豆腐など辛い味付けで有名な四川料理に欠かせない調味料で、これは空豆(ソラマメ)を発酵させてつくられます。当然、辛味を出すためには唐辛子がたくさん含まれていることは言うまでもありませんね。
一方、甜麺醤(テンメンジャン)は別名「中華甘みそ」とも呼ばれているように、独特の甘さが特徴です。原材料は小麦で、これを麹で発酵させるのですが日本で一般的に使用されている麹とは菌の種類が異なります。醤油と同じ小麦を麹で発酵させても、醤油とはまったく異なる味や香りが生まれるのですから、発酵とは不思議なものですね。毎回の繰返しになりますが、応用生物(バイオテクノロジー)の世界は本当に奥が深いです
辛さでは四川料理に負けていない韓国料理で使用されるコチュジャン(苦椒醤 ← こんな漢字表現もあるらしいです)も、同じ穀醤(コクショウ)の仲間で、大豆、小麦、黍(キビ)などを原材料としもち米の麹を使用して発酵させます。もちろん辛味のもととして、唐辛子もたっぷり含まれています。
ちなみに最近日本でも使用されるようになったXO醤(エックス・オー・ジャン)は、80年代の後半に香港で考案されたもので、原材料の一部に豆板醤を含みますが製造の過程に発酵はありませんので、正式には発酵調味料としての“醤”に含めないほうが良いようです。
さて、ここでいつものように画像をご覧ください。これは、前回と同じときに同じデパートの食品売り場で撮影した、発酵戦隊 ジャンの皆さんです。
麻辣醤(マーラージャン)というのは初めて見ましたが、中国では一般的なのかな? ・・・・
以前、中国に旅行した人からお土産に麻辣火鍋という、恐ろしく辛い料理用の総合調味料(粉末でした)をいただいたことがありますが、その関係の調味料らしいことは予測できますね。 詳しいことが判ったら、また報告させていただきます。
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お知らせです
次週の月曜日は都合により、中島は書込みできそうにありません。
連続書込みの記録が途絶えてしまって残念ですが、月曜ブログ担当超強力サポート隊員の小林さんと石井さんが書き込んでくれると思いますので、安心&楽しみにしています。
ということで小林さん、石井さん よろしくお願いしますね
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