カビ・酵母・細菌のお話し (5)
2008年12月01日 カビ・酵母・細菌のお話し (5)
月曜日担当の中島です。
だいぶ間隔が開いてしまいましたが、「カビ・酵母・細菌のお話し」 シリーズの第5弾です。
このシリーズの(1)〜(4)をご覧になっていない方のために、一応下記にリンクを張っておきます。
カビ・酵母・細菌のお話し (1) (2) (3) (4) ← クリック!!
さて、今回は酵母(コウボ)について説明させていただきます。
酵母とは、大きさが5〜10μmの単細胞(ひとつの細胞だけで成り立っている)微生物です。ちなみの大きさの単位 『 μm 』 (マイクロ・メートル)は、10のマイナス6乗(100万分の1)メートルという意味なので、1 μm = 1000分の1ミリという意味になります。ということは、酵母の大きさは500分の1ミリ〜100分の1ミリ
ということで、カビと同じように顕微鏡を使用しなければ酵母の姿を見ることはできません。
ということで、一生懸命顕微鏡を用意して酵母を観察してみても、比較的単純な円形か楕円形をしており、ほとんど運動性も認められない面白みのない外見をしています。しかし、外見こそ面白みのない酵母ですが、我々人類にとって非常に重要な役割を担ってくれているのです。
酵母は糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスを排出する発酵を行います。この働きを利用して、人類は昔からパンやビールなどを作ってきました。
いま話題のバイオエタノールも、基本的には酵母による発酵によってアルコールを生産します。ただし、サトウキビのように糖分を多く含んだものからアルコールを生産するのは問題ないのですが、枯れ葉や廃材(家屋などを解体した木材)は糖分を多く含んではいませんので、一般的な酵母ではアルコールの生産効率が悪いのです。
昨年(2007年)ぐらいから、酪農動物の飼料用トウモロコシがバイオエタノール生産の原料に転用されてしまい、飼料用トウモロコシの値段が高騰し、食肉や乳製品が品不足になったり価格が高騰する状況が発生してしまいました。でも、枯葉や廃材から高い効率でアルコールを生産することが可能になれば、こんな問題は発生しなくなります。
そこで、枯葉や廃材から高い効率でアルコールを生産できるような酵母が、各国の研究機関や企業で研究されているのです。自然界に存在しない酵母を、遺伝子組み換え技術によって作り出す研究も行われていますし、木材を食べて生きているシロアリの腸内に存在する酵素を利用する方法なども研究されています。
未来のエネルギー確保と地球環境にとって、この酵母の研究は極めて重要であり、とっても注目されています。このブログで何回も力説させていただいていますが、食品産業にも、エネルギー産業にも、バイオテクノロジー(応用生物学)は極めて重要なのです
説明が長くなってしまいましたので、今回はここまでとしておきます。実は酵母と酵素の関係についても触れるつもりだったのですが、それは次回とさせていただきます。
さて、それでは本日の画像です。
10月下旬から継続してご覧いただいているキャンパス内のイチョウ並木の状況ですが、先週の金曜日(11月28日)の朝はこのような状況でした。
もうすっかり葉が落ちてしまい、雨降りということもあって非常に寒々しい状況ですね。ちなみに、ほぼ同じ時期の神宮外苑のイチョウ並木はといいますと・・・・・
この画像は11月23日(日)に撮影したのですが、このところ寒い日が続いていましたので、例年より2〜3週間早く色づいているようでした。
この日はいちょう祭が開催されていて大変な賑わいでした。例年のいちょう祭はイチョウの葉がまだ緑色の状態で開催されていますが、今年は例年より秋の装いを深めた状態での開催になっていました。
最後に、もう1枚
これは、先日八王子キャンパスで撮影した夕日です。シルエット状になった山並みの中央付近に富士山があるのですが、お分かりになりますでしょうか。携帯電話のデジカメでは、本当の美しさはお伝えできないですね。この日は、それはそれは綺麗な夕日でしたよ。
今回は以上にて バイバ〜イ!
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